編集部より:スマトラ沖の津波を体験した人から来たメール

ご無沙汰しています。私たちが行ったのは今回の津波で多くの死者の出たプーケット島やピピ島の対岸にあるピマライというリゾートです。26日の午前十時ごろ、朝食を終えてプールサイドで本を読み始めたところ、まもなく、夫に「あれ、津波じゃない?」とやたら普通の声で軽く肩をつつかれました。目を上げると、水平線からゆっくりと、ほんとうにゆーっくりと白い帯が迫ってきます。言葉もなく立ちつくして見守る中(もっとも、あとで夫に聞きますと「まじー?うっそー、まじー?」と呪文のように繰り返していたそうですが・・・)、白い帯は陸に近づくにつれ急速にスピードと幅を増し、やがて巨大な白壁と化し、轟音を立てて、海上とビーチにあった、ありとあらゆるものを巻き込んで砕け散ります。 (続く→)船は互いに激しくぶつかり合って飛ばされ、波止場は三つに千切れてものすごい勢いで三方に流されていきます。まるでハリウッドのパニック映画でも見ているようで、現実感がなく、不思議なことにまったく恐怖は感じませんでした。そのあとはホテルの従業員と客のほぼ全員とともにプールの先端に立って繰り返し押し寄せる津波を見守りました。完全に海が静かになるまでには一時間ほどかかりました。海と山の迫った地形のせいでホテルはヒルサイドにあり、ビーチから階段を上がったかなり高いところにほとんどの施設があります。そのおかげで、私たちは文字通り高みの見物が出来たのです。本当に稀に見る幸運だったと思います。結局、巨大津波は計三回やってきて、ビーチにあった施設のすべて(桟橋と素敵なイタリアンレストランと七棟のオーシャンフロント・スィートバンガロー)を眼前で木っ端微塵に破壊しつくしました。津波が押し寄せてくるときの破壊力はもちろん膨大ですが、それと同じくらい、引くときのエネルギーにも私は驚かされました。なにしろ、海が半分なくなってしまうのですから、まるで旧約聖書の世界です。海の藻屑と化したレストランその他の残骸が、赤道直下の太陽を銀色に反射しながら猛スピードで水平線の彼方まで流されていくさまは、とてもこの世のものとは思えない不思議な光景で、今も津波そのものと同じくらい瞼にしっかりと焼き付いています。この景色はその後三日間ほど繰り返し悪夢の中に登場しました。長くなりましたが、今回何よりも幸いたったのは、津波の襲った時間です。あと二時間ほど遅ければ、私たちは確実にビーチをうろついていたでしょうから。本当に長く生きているといろんなことがありますね。 ・・・なお、このメールを下さった方は、今でも「お風呂の水を見ても津波を思い出す」状態だそうですが「スリランカやインドの泥水と違ってタイの海は真っ青なので、記憶の中の津波の光景はあくまでも美しい(怖いくらい美しかった)のです。それがずいぶん(体験から立ち直る)助けになっていると思います。テレビに映し出される被災地の様子には本当に胸が痛みます」とも書いています。

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