"""Eyes on the Prize""というアメリカのドキュメンタリーをご存知だろうか?『勝利を見すえて:アメリカ公民権運動の歴史 1954年-1965年』という邦題が付いたこの14本組みのTVシリーズは、1954~65年にかけてアメリカ各地で起きた公民権運動を描いたアメリカを代表する秀作ドキュメンタリー。87年に公共放送のPBSで放映されて以来、単なる番組としてだけではなく、アメリカの現代史を学ぶ映像教材として、全米の学校、図書館、公民館などで上映されてきた。さてこの""Eyes on the Prize""が、”ある問題”から、見られなくなるという問題が起こっている・・・" "(続く→)米Wired Newsによれば、この問題は、""Eyes on the Prize""の中に使われている映像の著作権処理にあるという。同シリーズの中には、1954~65年に起きたことを再現するために当時のニュース映像、インタビュー映像、写真、音楽等がふんだんに使われている。しかしこれらを使用する権利期限が90年半ばから切れ始めており、再度権利を取得するための処理が進んでいない。 というのも、すべての権利を再度取得するためには、50万ドル(約5300万円)程度の費用がかかると予想されるが、この費用を出す財源が無いのである。権利がクリアされない限り、""Eyes on the Prize""はテレビでの放映はもちろん、公共の場での上映、教材としての使用も一切出来ない。そのため、現在、このシリーズをどうしても見たいと思ったら、図書館で古いコピーを探し出すか、中古のテープを手に入れるしかない。(amazon.comでは、同シリーズの中古VHSが$700-1500という高値で取引されている。)
アメリカでは現在、多くのドキュメンタリー制作者が、""Eyes on the Prize""と同様な問題を抱えている。最近、アメリカン大学のCenter for Social Media が行った調査では、「古い映像などの権利処理にかかる費用が、過去20年間で劇的に跳ね上がっている。」「料金の高騰は、特に、映画と音楽の分野に顕著である」などの制作者の苦悩の声が寄せられている。
「著作権」と「社会の共有財産」そのどちらを優先すべきか? 著作権先進国であるアメリカは、この問題に対する答えをまだ見い出せていない。""Eyes on the Prize""の問題は、そのシンボルとして今後、さらに注目を集めそうだ。"
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