IT:Google Printは、なぜひっそりスタートしたか

"大手サーチエンジンのGoogleは今月26日、「Google Print(グーグル・プリント)」という、英語書籍の全文検索を行なえるサーチエンジンを正式にスタートした。同様のサービスは、すでに2004年秋からGoogleの検索内容に含まれており、検索したキーワードが含まれる書籍がある場合には、検索結果の中に Google Printのページもリストアップされるようになっていた。しかし今回、正式に公開されたのは・・・" "(続く→)
書籍だけに限定したサーチエンジン。現在は、英語バージョンのみが公開され、検索対象となる書籍も、英語で書かれた書籍のみが検索可能となっている。

試しに「Google Print(グーグル・プリント)」をクリックし、animal doctorと検索語をタイプインみして欲しい。
60冊の本から9040ページが検索される。一番先頭に出てきた""Chiken Soup for the College soul""という本をクリックしてみると、この本からスキャンされた28ページ目が表示され、文中の""animal"" ""doctor"" ""animal doctor""の文字がハイライトされる。
なお同じ画面の左サイドには、本の表紙、出版社のロゴ、この本について、著作権情報、目次、購入方法・・・などが表示されている。


Googleが、書籍の全文検索サービスに取り組んでいることは、かなり以前から知られていた。
2003年末には「Google Print Beta」をテスト公開しており、ここではユーザーは、書籍、批評レビュー、文献目録、著者注、ブックカバーの写真・・・等を検索できた。検索結果が表示されるページには、書籍を購入できるサイトへのリンクが付けられていたため、当時はAmazon.comの強力なライバルになるのではと話題になった。なお、このテストにはランダムハウスを始めとした、多くのアメリカの有力出版社が参加した。


また、Googleは各大学とも共同プロジェクトを行ってきた。米ハーバード大学、米スタンフォード大学、米ミシガン大学、英オックスフォード大学、ニューヨーク公立図書館などが参加し、それぞれが所蔵する書籍をGoogleが預かりスキャンした後に返却。全文検索が行えるようなシステム研究が行われてきた。

さて、Google Printがひっそりスタートした理由だが・・・
一つ目の理由は、今回のサービスがまだ非常に限定されていることにある。著者や出版社を限定して検索することさえできない。これまでGoogleが語ってきた”世界中の情報へのアクセスおよび検索を可能にするサービス”を期待したユーザーには、正直、期待外れのものである。そのため、Googleは今後、print用の新しいインターフェースを投入するという噂が出ている。


もう一つの理由は、著作権問題。
5月23日米国大学出版部協会(AAUP)は、Googleに対し、著作権保護のために同社がどのような対策を予定しているか、16項目の質問リストを送り、返答するよう求めている。そして「同社の図書館蔵書スキャンプロジェクトは同協会の会員にとって財政的に由々しき脅威をもたらす」と指摘、「このプロジェクトは著作権の侵害にあたり、学術出版物の今後の売り上げを阻害することになる」と厳しく抗議している。


図書館は、著作権で保護された図書を保管しているだけで、これらを配布目的で複写する権利は持っていない。しかし同時に、連邦法では一部の著作権付き書物の無料配布は、容認できる範囲内では「公正使用」と見なされるとしている。著作権保護と知の共有という、二つの課題をどう両立させるか。Google Printの規模拡大には、この問題の解決が不可欠であろう。


もう一つ、図書館のスキャンには、著作権以外の観点からも、懸念する声が欧州から起きている。それは、このプロジェクトの対象が、米国の図書館の蔵書に偏り過ぎているという批判である。確かにプロジェクトに参加している図書館は、米国の図書館が圧倒的に多く、対象言語も英語のみである。オンライン上の知の集積が、英語&米国圏にのみ集中してしまうのではないか?という懸念も理解できる。


Google printは、同社にとって単なる新サービスではない。というのも、Googleはもともとがスタンフォード大学の図書館にあった蔵書をデジタル化するプロジェクトから誕生した会社だからである。諸々の問題をクリアするには、まだまだ時間がかかるだろう。しかしGoogleはこのプロジェクトを手放さないはずである。それはGoogleの存在意義に関わる問題だからである。
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