著作権:テレビ局が負けた「まねきTV」訴訟って何?

"みなさんは「まねきTV」というサービスをご存知でしょうか?これはソニーが発売しているロケフリ(ロケーションフリー)の機器を利用し、電波の届く範囲以外でもテレビ番組が視聴可能になるというテレビの遠隔視聴サービスです。さて、今、この「まねきTV」がテレビ局を震撼させているといいます。いったい何が問題となっているのでしょう?・・・" "(続く→)
「まねきTV」は永野商店という企業が提供しているサービスで、その仕組は、①ユーザーは「まねきTV」のサービスに登録 ②自分で購入したソニーのエアボードとベースステーションを「まねきTV」に送る ③「まねきTV」は送られて来た機器を設定後、エアボードのみをユーザーに返送、ベースステーションは保管する。④その後、「まねきTV」で受信したテレビ映像をベースステーション経由でネットに送信。ユーザーはエアボードを通じて任意の放送番組を見ることができる、というものです。

ようするに「まねきTV」とは、電波が届かない地域にいるユーザーのために、電波の届く場所にベースステーションを預かるサービスと言っても良いでしょう。ちなみに利用料金は入会金が31,500円、月額利用料が5,040円。これにはロケフリの機器代は含まれていません。

さて、この「まねきTV」に対し、NHKと民放キー局5社は「送信可能化権を侵害し、著作権法に違反している」と東京地裁に同サービスの差し止めを求める仮処分を申し立てました。しかし4日、同裁判所は、この申し立てを却下し、テレビ局側の敗訴となりました。

テレビ局側の主張は、「ベースステーションは自動公衆送信機能を有する装置であり、(まねきTVは)料金も単なるベースステーションの保管料に止まるものではなく、放送の同時再送信サービスへの対価であることは明らか。テレビ局が持つコンテンツの送信可能化権を侵害している」といいうものです。
しかし、東京地裁(高部眞規子裁判長)は「(まねきTVが行ってることは)汎用品を利用したサービスであり、特別なソフトウェアも使用していない。1台のベースステーションからのデータを受信できるのは1台のエアボードやパソコンに過ぎず、(一対多数に送信する)自動公衆送信装置には当たらない」と判断。「ロケーションフリーテレビのNet AV機能を利用することが、テレビ局側の送信可能化権を侵害するものでない以上、まねきTVのサービスは、その利用を容易にしているに過ぎない」と、永野商店側の主張をほぼ認め、差し止める請求権が無いとして却下しました。


・・・現在の日本では、こうした訴訟で争点になるのは、まず、行為(放送データの送受信)の主体が業者になのか、それともユーザーになのかという点です。そして今回の場合、東京地裁は「まねきTV」が提供しているのはベースステーションという機器の保管サービスに過ぎず、機器の所有権及び、同時に行為の主体はユーザーにあるのだから「まねきTV」は行為の主体にないと判断したようです。

ふーむ。 難しい法的解釈は専門家に任せるとして、今回の判決には正直、違和感が残ります。永野商店側は、こうした訴訟に備え前例(録画ネット訴訟、選見録訴訟)を十分に研究した後で、ビジネスを始めたと思います。ただ、素人目で見れば、「まねきTV」のビジネスモデルが単なる機器を保管する行為ではなく、もう少し突っ込んだものにあると思われるからです。(料金を見てもそれは明らかな気がします)

気になるのは、こうした判例がまかり通ると同種のサービスが次々と登場し、ひいては著作権法自体を揺るがしてゆくような気がするからです。もっとも地裁の裁判長は、新しい機器への対応が遅れている著作権法の現状を指摘する意味でこうした判決を出したのかもしれないですけど・・・。

ついでに言えば、そもそもテレビ局側は、ロケフリが登場した時からこうした問題が起きるのを予見できていたはずな訳で、なぜその時にソニーに対して何らかの行動を起こさなかったのでしょうか?もしテレビ局に著作権をきちんと守っていく覚悟があるのであれば、かつて米で起きたベータマックス訴訟のように、正々堂々と闘うべきだったのではないかと思うんですけど。

まぁ個人的には自分が海外に居た頃にこうしたサービスがあればすごく楽しかっただろうなと思います。英語の上達は遅れたかもしれないけど・・・。"

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